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Harawata0004

山利喜
東京都江東区森下2-18-8、03-3633-1638、17:00〜22:00、日祝休

 下町風情の残る夕暮れ時の森下駅前交差点。大きな赤提灯の前にひときわ目立つ行列ができている。山利喜(提灯、看板、暖簾の喜は七が三つ)である。東京で「煮込み」と言えば、必ずと言ってよいくらい山利喜の名前が挙げられる。いや、3軒挙げれば山利喜が入らないことはないのである。
 しかし、入口に書かれた大衆酒場の文字とは裏腹に、ここは女性含有率が50%近いというお店でもある。それは三代目になって、八丁味噌ベースの汁にワインやブーケガルニ等の洋風味付を加え、ガーリックトーストなんぞで食べるというスタイルが確立されたからなのだ。ひとりでカウンターに佇む初老の紳士が、この煮込みでワインを傾けていたりするところを見ると、決してオネーチャン達に迎合している訳ではないのである。勿論、日本酒の揃えもしっかりしているので、定番の食べ方をしても何の問題もない(笑)。
 煮込み480円の中身は牛のシロである。50年も継ぎ足し継ぎ足しで使われている汁で、7時間煮込まれるというトロトロのシロだ。まさに、ビストロのシチューでも食べているかのような気になってしまう。50円プラスすると同じ汁で煮込まれた玉子がついてくる。白身と黄身を崩しながら、汁に絡めて食べるのである。この煮込み玉子入り530円を、常連さん達は「にこたま」と注文している(笑)。最近、ラーメンにトッピングされる煮玉子がほとんど半熟になってしまったので、煮込みで食べる黄身がホクホクの固茹で玉子は、かえって新鮮に感じてしまうから面白い。そして中盤以降になったところで、ガーリックトーストにシロをのせて齧り付く。カリッとグジュが入り混じった食感と、ガーリックバターに八丁味噌が合わさった味が何とも言えないのである。勿論、シロがなくなったら、汁の最後までガーリックトーストですくって食べ尽くすのが、山利喜での正しい食べ方なのである。
 さて、山利喜はどうしても煮込みの話で終始してしまうが、焼き物も外すわけにはいかない。江戸っ子好みのあくまでも甘っ辛いタレと、素材の旨みをそれだけで味わえる塩から、好みに応じて選ぶことができる。1本120円(1人前2本240円)としては申し分のない質と量である。品書きの札が裏返っているのは売り切れで、「品切れの節は足唐酢」だそうだ(笑)。
 普通のモツのお店とはちょっと違っているためか、18:00を過ぎると行列ができ、1時間くらい待つこともしばしばある。やはりこの手のお店は、ぱっと食べてぱっと飲んで、せいぜい1時間以内で出てきたいものだ。(01.7.4)

暖簾の絵(フラッパーI提供)

左:煮込み中:シロ・レバー・カシラ(タレ)右:ナンコツ・ガツ(塩)

シロ・ナンコツ(塩)