Harawata0005

大坂屋
東京都江東区門前仲町2-9-12、03-3641-4997、16:00〜21:00、日祝休

  門前仲町の交差点からちょっと北に向かった路地に入ると、提灯に大坂屋の文字が入った小さなお店が現れる。その風情は小料理屋さんという感じだが、暖簾には「牛に古み」と書かれている。ここではじめて「もつが食べられるらしい」と、ホッとするのである。引き戸を開いて中に入り白木のカウンターに座ると、串に刺さったもつと殻付きの玉子が、大きな鍋の中で煮込まれているのが目に入る。ここでやっと「間違いなくもつが食べられる」と、ニンマリするのである。で、安心ついでに品書きの札を見ると、鍋の中にあるもつと玉子とオニオンスライスしかメニューがない(爆)。ここではっきり「ぱっと食ってぱっと飲んでさっと帰るお店なんだな」と、ナットクするのである。
  まずはビールで喉を潤して、もつ煮に喰らいつく。50年以上継ぎ足している赤味噌の濃厚な味が、もつを噛むたびにジュワッジュワッと肉汁とともに口中に広がる。ビールがなくなれば、次は梅割りである。得体の知れないリカーに得体の知れない梅シロップが注がれ、得体の知れないケミカルな芳香を放ちながら喉から胃へ下っていく。もつがなくなったら、今度は玉子入りスープを注文する。殻ごと煮込まれていた玉子の殻をむき、包丁で切れ目を入れ、煮込みのスープとともに深皿に入れて出される。スプーン付だ(笑)。玉子を割ってスープとともに口に入れると、もつとは違った黄身のコクがスープの甘さと合わさり、ケミカルな梅割りが入ってくるのを待ち構えている。
  こんなことを2回も繰り返せば、血中のアルコール濃度はかなりの高値に達し、時計を見ればほぼ一時間が過ぎているはずだ。勘定ができる内に千円札と数百円を払い、門前仲町の街へ戻っていくのである。(01.4.13)
左:もつ煮(シロ、フワ)
中:もつ煮(ナンコツ、フワ)
右:玉子入りスープ