Harawata0014

麦談BAKUDAN
神戸市中央区加納町4-9-8、078-322-1817、16:00〜串が切れるまで、無休

 三宮の繁華街の中で、どこからかもつを焼く良い匂いがしてくる。まぎれもなく、この匂いはもつであって焼肉ではない。匂いにつられて歩いて行くと、ウッディーなお店から煙が出てくるのが見える。はたして、そこがこの良い匂いを出している麦談であった。
 ドアを開けて中に入ると席はひとつもなく、お店の壁をぐるりとカウンターが囲んだ立ち飲みスタイルになっている。こういうスタイルの場合、大概は俗界の大物達の集まりになっていることが多いのだが、こんなお洒落なお店は初めてだ(笑)。
 メニューは厨房の後ろの黒板に書かれている。ざっと目を通しても、私の知らない名前がたくさん出てくるのでワクワクしてくる。まずは3種類くらいの串とカクテキを注文し、カクテキをつまみながらビールを飲む。このカクテキが自家製でとても旨い。夏だったら、これでビールが3ガロンはいけるな(笑)。
 そうこうしているうちに、お店の名前になっているバクダンがきた。筋肉ながら脂の多い部分だが、香ばしくなるくらいによく焼かれ、脂が落ちているのですんなりいける。ジューシーな肉の後はアカコリで食感を味わい、続いてアブラミノでこの店一番の脂肪を味わう。通常のミノがイカのようなグニュとした食感であるのに対し、これはジュワッという感じに近い。しかし、これも香ばしさとタレの甘辛さで、全く問題なくスルッと食べられる。
 このあたりで、飲み物はビールからジンロの水割りに移行して、次の焼き物を注文する。コリコリとは関西ではイカダ(筏)とも呼ばれ部分で、大動脈の部分だとすれば関東でいうハツシタ、ハツモトだろう。その名のとおりコリコリと何度も噛みしめながらジンロが進む。そして顎が疲れた頃にハラミの登場だ。「私を待ってたんでしょ?ねぇ。正直に言いなさい」とでも言わんばかりに肉汁がほとばしる。挑発的なオネーチャンである(殴)。
 こうなったら、もうとどまることはなく、フク、レバー、ココロ、カッパと黒板の字をつぶしにかかる。口の中はコリッ、グニュ、ジュワ、ニチャなどと、色々な食感と味が忙しなく行き来し、その度にジンロが流れていくのだ。
 オーナーは元ラガーマンで、お店には肩幅がやけに広いつわもの達がたむろしていたりするらしい。お店を任されているマスターは、とても気のいい関西人である。これだけ食べて2000円でおつりがくるというのも、この時期にあくまでも牛で商売しているというのも、そしてなんと言っても焼き物が旨いというのが、このお店の素晴らしさなのである。(01.11.12)





1段目:メニュー、カクテキ
2段目:バクダン、アカコリ、アブラミノ
3段目:コリコリ、ハラミ
4段目:フク・レバー、ココロ・カッパ