Harawata0039

鳥佳
神奈川県横浜市港南区大久保1-9-24、携帯のため非公開、16:30〜24:00、日休(土・祝は営業)

 出張の帰りなどで、たまに上大岡を経由して帰宅することがある。ちょっと一杯飲んで帰りたいなと思い、駅周辺をぶらりと時、赤提灯の下がる立ち飲みの焼鳥屋さんを見つけた。恒例の「常連さんの視線」を浴びながら中に入ってメニューを見ると、焼とん主体のお店だということが分かった。寒かったので煮込みと5〜6本の焼き物を食べながらホットウヰスキーを飲み、良い気持ちに温まったところでお勘定をすると1500円くらいだったと思う。当然それから通うようになった(笑)。寡黙なマスターで、注文してもこっくり頷いて串を焼き、話をするのはお勘定の時だけということもある。でも、すぐに好みの酒や好みの焼き方を覚えてくれたり、「塩でいい?」とかすっと一味唐辛子を出してくれたり等々、自分の中でとても気のおけないお店になっていったのだ。
 その後、創業30年を迎えた年に、上大岡駅前の市街地再開発事業により旧店舗は立ち退きとなってしまった。何処に行ってしまったのかと探していたら、2002年夏に大岡川を挟む反対側で移転再開となったのを知り、すぐ訪ねて行ったのは言うまでもない。新店舗はカウンターにテーブルもある20席ほどのキャパになり、マスターとの会話も楽しめる空間となって、居心地の良さは更に数段アップしていた。

 お店が新しくなったところで、メニューもどんどん増えている。定番の焼き物は120円から300円で、その日の焼き物がホワイトボードに書かれている。たとえば、ボンボチやトンタマ(豚とタマネギ)といった肉モノに加え、穴子、キス、ホタテ、牡蠣、青柳等の魚介もあったりする。以前のお店では隠れメニューだったレバ刺しやコブクロ刺し等の生モノも、個数限定とはいえ普通に食べられるようになった。そして何と焼酎には鳥佳ブランドができてしまったのだ。そのラベルは常連さんの直筆でデザインされているのだが、「焼鳥専」と誤字のまま使われているのがなんとも微笑ましい。
 マスターはヨットマンで、爽やかな人柄が顔に表れている。常連さんはそれに惹かれて集まった人達で、礼儀正しい人たちが多い。しかし、それに甘えた光景も新店舗で居心地が良くなってから見られるようになったのも事実だ。よく言われる言葉に「自分の家のようにくつろげる」というのがあるが、何人もいる空間の中でその人が自分の家のようにくつろいでしまったら、他の人全員が他人の家に連れてこられた状態になるのを認識すべきであろう。人柄の良いご主人のいるお店で楽しく飲むためには、自分もそのご主人の人柄に近づかなければならないのである。(01.9.17)

焼台、鳥佳ブランド焼酎、サワー

牛モツ煮込み、黒七味、レバ刺し

シロ・ナンコツ(塩)、ナンコツ・コブクロ(塩)、ボンボチ(塩)

タン(塩)、レバー(塩)、手羽(塩)

皮(タレ)、シロ(タレ)、ハツ・タン・サガリ(タレ)

しこ鰯、キス、穴子

牡蠣、ホタテ、青柳

ニンニク、シメジ、椎茸

キャベツ、お新香