Harawata0071

もつ蔵
東京都江東区東陽3-6-8、03-5634-4129、17:30〜23:00、日祝休

 どうやらあの10年ちょっと前にあったもつ鍋ブームが到来しているような気配を感じる。去年(2004年)の夏に行った蟻月は、毎日15:30から2週間後の予約を受け付けるというシステムになり、電話回線が一気にパンクするという盛況ぶりだそうだ。それに目をつけたのか、もつ鍋の新店がどんどん開店し、そのほとんどが六本木や恵比寿にできているらしい。胡散臭いエリアに胡散臭い大資本がバックについたお店が、雨後の筍のようににょきにょきと生えだしたのだ。そんな時期に地下鉄東西線の東陽町にある有明という鳥料理店で、昼に出すラーメンが旨いと言うので食べに行った。確かに軍鶏で取ったスープは濃厚で、大いに満足してお店を出たのだが、帰り道に見つけたもつ焼きの提灯が気になっていた。奇しくもKHC敏腕マネジャーから「部活の頻度を上げること」ならびに「もつ鍋をテーマに新規開拓に励むこと」という指示がでていたので、この提灯のお店はどんなもんであろうかと候補のひとつに挙がったのだった。電話をしてみると、19:00までなら大概座れるとのことなので、とりあえず名前を継げて行ってみることにした。

 ジャズの流れる店内は、15席くらいのカウンターが焼台と厨房を囲み、2階にも同じくらいのキャパの座敷?があるらしい。メニューを見ると、焼き物は100円が基本で、もつ鍋は1人前680円という安さである。これは期待できそうだと思い、まずは焼き物と煮込みとレバーのたたきを注文した。
 お通しはお約束のキャベツ。これを胡麻油・塩につけて食べていると、ほどなく煮込みが出てきた。使われているもつは大振りのシロで、薄い味噌味でやんわりと煮込まれており、関東風らしく脂がしっかりと落とされているので、女性でもどんどん食べられそうだ。レバーのたたきは逸品だった。火の通った外側と生の中心部との、見た目と味の両方のコントラストが素晴らしい。400円という値段は本当にいいんですか?と思ってしまう。

キャベツ/煮込み/レバーたたき
 続いて焼き物に移行する。煮込みで食べたシロは脂が落とされても旨かったが、焼き物になるとちょっと物足りなさが出てきてしまうようだ。まぁ、3種類しか食べていない状況での感想なので、一通り食べてみないうちはあまり多くを語るのは控えるべきだろう。
 時間が経って周りを見る余裕ができると、ここはモノがポンポンと出てきてパーっと飲んで酔っ払って帰るような店ではなく、2時間位かけて落ち着いて飲み食いできるお店であることが分かった。出てきたモノをワシワシ食っちゃあ「ふむふむ」とか「ほぅ」とか唸っているのは我々だけである(^^;

ナンコツ・カシラ/シロ
 そして懸案のもつ鍋に移行する。キャベツが大量にのった鍋を煮込んでいくと、薄い味噌味に唐辛子の入ったスープがぐつぐつ湧き上がり、唐辛子で下味がつけられたシロが見えてくる。キャベツの甘さとモツのピリ辛が心地よいが、私の好みとしては前述のようにシロの脂を落としているのでコクが足りなく感じる。最後にラーメンを入れて〆る。ちゃんぽん玉よりかなり細い麺だが、適度な茹で加減で食べれば問題なく旨い。

もつ鍋2人前/火が通ったところ/ラーメン投入
 「10人集めてくれれば、適当に見繕って食べ物を出して、飲み放題で4000円でやるよ」とは大将の弁。この値段構成だからできるのだろう。粋なもつ屋さんである。(05.1.28)