Harawata0112

鳥人
鹿児島県鹿児島市東千石町6-11-2F、099-227-0388、18:00〜翌3:00(日祝〜翌1:00)、1・3月休

 鹿児島の繁華街である天文館の北側(東千石町)は、南側の喧騒とは異なる裏路地の風情を残した界隈がある。昔からの一軒家や数軒の飲食店が入る雑居ビルが混在しながら、それぞれの個性を出しているお店が多いという。そんな中で表札の横に「一串入魂」と書かれたお店がある。魂の注入された焼鳥を出す鳥人(とりんちゅ)である。

 重厚な扉を開けると、中は焼き台前のカウンターとテーブル2卓のみで、比較的こぢんまりした造りになっている。すでにカウンターには先客が4人おり、テーブル席は予約で埋まっているというご繁盛振りだ。何とかカウンターの隙間に座り、メニューを見ながら付箋にオーダーを書いて奥さんに渡してスタートとなった。
 お通しのキャベツと大根おろしでトリビーを飲んでいると、砂肝からできあがってきた。オーダーしたものをいっぺんに焼くというのではなく、ゆったりとしたペースで1本ずつ出すのがここのやりかたのようだ。砂肝の火の入り方が絶妙で、このあとの焼き物にも期待が高まってくる。牛すじ煮込みは薄い味噌味で、すじのコラーゲン部分が具の中心になっている。これまた旨い!ただ、他の具がコンニャクなので、すじと食感が近くなってしまうのが惜しいところだ。手羽先はやや小ぶりだが、ジューシーでこれまたいいですねぇ。

お通し/トリビー/砂肝

牛すじ煮込み/手羽先
 次は軟骨二種類の登場である。ひざ軟骨の肉の中のガリッとした食感は、軟骨好きにはタマランチ元会長だろう。このあたりから焼酎に切り替えましょうかね(笑)。流石に鹿児島だけに、焼酎の種類は豊富だ。

ひざ軟骨/やげん軟骨/お湯割り
 焼き物の最初のサプライズはエリンギだった。豚肉の薄切りが巻かれたぶつ切りのエリンギは、ジャクジャクとした食感の後に肉汁とエリンギの汁が口の中に広がっていく。予想できなかった旨さに、思わず笑ってしまった。お替り決定!エリンギがあまりにも素晴らしいので、ごく普通の椎茸が見劣りしてしまう程だ(^^;

エリンギ/椎茸
 はつは豚かと思っていたらちゃんと鳥だった(笑)。これまたコリッとした食感がいぃですねぇ。しかし1本で7羽の心臓が・・・(^^; 今日の選択で始めてタレで出てきたのはレバー。これがまた旨い!そんでもってまたもやお替り決定!

はつ/レバー
 そして本日のベストサプライズは皮。メニューには「皮は時間がかかりますので、最初に注文してください」と書かれている。ネタケースを見ると、串に鶏皮がぐるぐると巻いてあり、直径8cmもあろうかという塊になっているのだが、30〜40分も焼いているとそれが直径3cmくらいに縮まってくるのである。まさに外はカリカリであり、中は熱のみが通ってねっとりになっている。いゃぁ、参りました。タレの付いた皿に乗せるのが勿体無いので、箸の上に置いて食べたくらいだ。最後は予定通りエリンギとレバーをお替りし、大満足でお勘定となった。

皮/皮の中心部
 店主の幸野さんはバンドマンを目指した元ドラマーで、世田谷の焼鳥屋さんで修行されたそうだ。この焼き物を出すテンポは、さながらフォービートのジャズというところか(笑) (06.4.26)
 残念ながら閉店。