Harawata0015
豚の味珍(まいちん)
神奈川県横浜市西区南幸1-2-2、045-312-4027、17:00?頃〜22:30、日休
横浜駅西口にも狸小路があるのを知っているだろうか?(笑)。東急ホテルと岡田屋モアーズに挟まれた、お世辞にも綺麗とは言い難い飲み屋が軒を並べる三角地帯があり、その中心を突っ切る路地が横浜の狸小路である。ジャンパーに手を突っ込み、猫背になって足早に通り過ぎていくオジサン達が、その路地でフッと消えるところから、バーミューダートライアングルとも呼ばれている処である(爆)。その路地を東急側から入ってすぐ左にこの豚の味珍(まいちん)がある。
表の看板には、店名、取り扱っている豚の各部位の名称、そして「お献立」の写真があるので、ひとりで行ってもすぐ見つけることができるし、実際どんなモンが出てくるのかがよく分かる。そこまでは良いのである、あくまでもそこまでは。そこから、店に足を踏み入れる勇気がなかなか出ないのだ。引き戸の中にはL字型のカウンターがあり、そこに常連さんたちが肩を触れ合いながら飲んでいる姿が見える。隙間がひとり分空いているのが分かったところで、そこへスッと入っていくには根性がいる。恥ずかしながら、私も1回は場所の確認だけしてスルーしてしまった(^^; これは大抵のもつのお店に入る時の第一関門なのだが、自分がそのお店のジグソーパズルの1ピースとなれるのか?うまいことはまるのか?弾き飛ばされやしないか?と考え、あと一歩が出なくなってしまうのだ。しかし、こんなことを繰り返していると、「ジグソーパズルをはめるのは店主であり、自分は形状の変わりやすい1ピースとなっていればよい」ことが分かるようになる。
ここのおやじさんは当たりの柔らかい方で、一見と分かると丁寧にシキタリを教えてくれるので、座ってからの居心地がとてもよい。一見かどうかは、最初に出てくる小皿をどうするかで分かるのである。常連さんは、皿が出るとすぐ、酢とカラシとラー油のような唐辛子をお好みに調合しはじめる。何をして良いのか分からずにいるのが一見というわけだ。もつを出してくれる時に、調合をしていないお客には「酢とカラシ、それに好きならそっちの辛いのも入れて、かき混ぜて付けて食べてね」と、教えてくれる。
さて、席に座ると同時に飲み物とつまみを注文する。品書きを見ていると、まわりで「やかん!」という注文が入り、すかさずおやじさんが銀色の水差しから液体をコップに注いでいる。どうやら、これは35度の焼酎のようだ。そして、カウンターの上にはジョニ黒の瓶が置いてあり、その中に梅シロップが入っていて、好みで焼酎に足すのだそうだ(笑)。私も周りに倣ってやかんとチェイサーのウーロン茶を注文した。
すると、「ごめんねぇ、今日は耳と尻尾が終わっちゃって・・・」と言われてしまった。どうやら、それが人気メニューらしい。どうしようか悩んでいると、次に入った人が「尻尾!」と注文を入れ、おやじさんは「えぇっと、じゃぁちょっと待ってよぉ」と電話をかけはじめた。直後に「あと3つあったわ。お客さんも尻尾にする?」と声をかけてくれたので、何も考えずに「はい!」と返事をした。オーダーが通るとすぐさま外から3皿の尻尾を持った人が現れた(爆)。向かいにもお店があって、そこから持ってこさせたようだ。しかも、私のほうが先客と認知してくれたらしく、尻尾の根本の太いところを出してくれた。いい人だ!
その尻尾をさっきご指導を受けたタレに付けて食べる。。。旨い!初めて尻尾を食べたが、これは豚足より旨いんじゃないか?!コラーゲンのねっとり感と、控えめな醤油の味付がベストマッチな上に、ともすればしつこくなりがちな素材を、タレの酸味と辛味がさっぱりとした後口を与えてくれ、もう箸が休まらなくなってしまう。周りを見ると、コロコロした骨をプップッと皿に出しながら食べている。これがここの流儀らしい。
常連さんがもつと一緒に注文しているのが白菜のお新香だ。この浅漬けのジャクジャクした食感は、タレ以上に口をリフレッシュしてくれる。これもいいですねぇ〜、おやじさんやかんおかわり!(笑)
次は何にしようかと品書きを見ると、食べたことのない「頭」の文字が目に入った。これも食べておかねばならんでしょう。出てきた頭は3割くらいが脂肪部分で、チャーシューによく似た味がする。普段、チャーシューをひとりで8〜10枚食べるということはないので、全部食べられるかと心配になったが、これもタレのお蔭でするするいけてしまう。こりゃぁもつ一品にお新香とやかん2杯が、丁度良い量なのかもしれないな。羽田からの帰りに寄ってしまいそうなお店がまた増えてしまった(^^; (01.12.12)
1段目:メニューの載った看板、看板1
2段目:看板2、やかん、焼酎+梅シロップ・調合前のタレ
3段目:尻尾、豚足、頭
4段目:耳、胃、舌
5段目:煮込み、辣白菜、ピータン