Harawata0028

大成屋
大阪市東成区東小橋3-14-26、06-6972-8385、17:00〜22:00、不定休

 ホルモンの聖地、大阪環状線の鶴橋駅に着くと、改札を出る前から香ばしい焼き物の香りが鼻腔をくすぐってくる。環状線の線路に沿って少し戻ると、目指す大成屋の真っ赤な提灯と看板が現れる。

 この手としては珍しく、お店は2階にある。1階もお店で2階にも席があるというのは珍しくないが、入り口から何から2階というのはここが初めてかもしれない。狭い階段を昇って青い暖簾をくぐると、カンテキ(コンロ)を囲むようにカウンターがL字型に広がっている。左奥を見ると、小上がりにちゃぶ台が設えられている。どちらのお客さんも旨そうに串焼きを食べている。
 この界隈でも串焼きホルモンの元祖といえば大成屋なのだそうだ。戦後の屋台から発祥したお店だそうで、カンテキの下には車輪がついているという(笑)。
 お絞りで手を拭きながらぐるりと店内を見回しても、品書きもなければネタケースも見当たらない。とりあえず事前情報から「生ギモ」を注文してビールを飲む。生ギモは、コロコロとした感じで賽の目に切られ、串に刺されたレバーに胡麻油と胡麻がかけられて出てくる。この歯応えがありながら甘い味わいが広がるところが何ともいえず旨い。
 さて、焼き物はどうやって注文するのかと不安になっていると、キャベツが置かれ、タレの皿が置かれ、ちょっと大きめの皿が置かれた途端に串焼きがどんどん盛られ始めた。なるほど、こういうシステムなんですね。串は、テッチャン、心臓、ツラミ、ミノ、コリコリ、赤コリの6種類で、常連さん達は途中から「何々を中心に焼いて」と注文をしている。何も言わなければ焼けた順に出てくるらしく、同じモノが繰り返されたりするのはご愛嬌だ。
 そしてタレがまた独特で、辛味の付いたモロミと甘みの付いた醤油ダレを、自分で適当に混ぜて串に付けて食べるのである。勿論、塩も軽くふられているので唐辛子のみというのも良いのだが、郷に入ったら郷に従うのが一番美味しく食べる方法だろう。
 ちょっと間が空いたところで「他に生ものはありますか?」と聞くと、ミノと子袋ということなので子袋を注文した。子袋刺しといえば、通常はさっと湯通しされたものが出てくるのだが、ここは本当に生が出てきたので驚いた。流石に聖地である。たれは酢に胡麻油という取り合わせで、さっぱりした味付になっていて旨い。(03.8.27)




上段:生ギモ、串焼きのタレ
中段:焼き物各種
下段:カウンターはこんな感じ、子袋刺し