Harawata0084

うまいち
東京都台東区浅草4-1-14、03-3876-2193、18:00頃〜23:00、日祝休

 地下鉄浅草駅の改札を出て、どの出口から地上に上がろうかと考えた時、地元民以外で6番出口を選ぶ人はほとんどいないのではないだろうか。これぞ浅草というお店の並ぶ地下街を通るのも、古いビルの非常口のような薄暗い階段を昇るのも、それはそれは勇気のいる行動なのだ。以前はチャレンヂメニューでも有名な、物凄く胡椒の効いたちゃんぽんを出すお店があり、社員旅行の帰りに会社の人達を連れて行ったら、数名いた女子はフリーズしてしまったくらいだ(笑)。そこを出てから馬道通りを北へ進み、7〜8分歩いて言問通りを過ぎた先に名店の誉れも高いうまいちがある。

 この日はちょうど暖簾がかかる前だったが、「カウンターに座ってていいよ」とご主人からOKが出たので、中に入って座って待たせていただいた。中は厨房を囲むカウンターと2卓のテーブルがあるだけで意外に小さく、入り口のドアといい調理場の形態といい、何かのお店の居抜きといった感じだ。
 ご主人のセッティングを眺めながら、品書きの札を見て注文を検討する。暫く経ってから「じゃぁ、飲み物は?」と聞かれたので、迷うことなく酎ハイを注文した。調理場のど真ん中に設置されたサーバーから焼酎と炭酸が注がれ、薄切りのレモンが一片のせられて酎ハイが出てきた。同行者と乾杯してグビッと飲むと、どちらともなく顔を見合わせ「旨〜い!」と声が出る。まさに辛口の酎ハイだ。炭酸がいいんだろうなぁと思っていたら、あとで「炭酸は自分のところで作ってる」と教えてくれた。すると、上にのったレモンって意味があるのだろうか?と思っていたら、お替りごとにレモンが足されてくるのを見て、飲んだ杯数の確認だと判明した(笑)。

酎ハイ1杯目/酎ハイ4杯目
 いよいよモツの注文OKのコールがかかった。焼きはてっぽう、生はしろとなんこつをお願いする。軽くボイルして薄切りされたなんこつは、醤油ベースのタレがかけられ、ネギがワサッとのせられてでてきた。ニンニクと生姜が薬味で付いてくるので、ネギとなんこつを混ぜた後で、好みに合わせてつけて食べる。ほほほほっ、旨い。続いてしろ生だ。これってもうほとんどてっぽうの部分じゃないですかぁ。やはり軽くボイルされたしろを、練り唐辛子を混ぜた醤油をつけて食べる。んま〜〜〜い!!そしててっぽう焼き。醤油で軽く味付られたてっぽうに、練り唐辛子が塗られて出てきた。これはやられたぁ〜!!噂どおり肉厚でくにゅくにゅのてっぽうは、抜群の旨さとしか言いようがない。なるほど、これを求めて皆通ってくる訳だ。

なんこつ生/しろ生/てっぽう焼き
 あっという間に食べてしまったので、次にかしらとたんを焼いてもらう。これらも肉々しくジューシーで、ものも言わずに食べてしまった。

かしら/たん
 そしてたん生とがつ生を追加した。これらはなんこつ生と同じようにタレと薬味がついて出てくる。やはりどちらも旨い。

たん生/がつ生
 焼き物は4本(たんは2本)で1人前、生は2人で食べて丁度良いくらいの量で、これらは全て400〜450円なのだ。もっと近くにあれば何度も通うのになぁ。
 他にお客さんがいないことをいいことに、寡黙そうなご主人にちょっと話しかけてみると、結構いろいろな話を聞かせてくれた。曰く「何か、インターネットに出てから、それを見てくる人が多くなったね。そういう人は、まずなんこつとしろ生を注文するからすぐ分かる・・・(私達は単純に好みを注文しただけでして・・・(^^;)」、「(てっぽうが旨いですねぇ、と言うと)まぁ37年やってるからね・・・最近はなかなか手に入らなくなって、仕入れが遅れるから仕込みも遅くなる。だから、うちは煮込みもお薦めなんだけど、それを仕込んでたら営業時間がなくなっちゃう。昔は17:00からやってて、ちょっと前に17:30にしたんだけど、もう18:00がやっとになっちゃったね」だそうだ。
 モツを扱うお店は本当に大変な時代になってきたようだ。情報を知って食べに行くのは構わないと思うし、私自身もそうやってお店を開拓している。しかし、お店のキャパや雰囲気、それに仕込みの状況等を考えず、多人数で食べに行ったり、人気メニューばかり食べたりお替りしたりするのは、決してやってはいけないことなのだ。このようなサイトを公開しているからこそ、良いお店でもつを楽しみたい読者と共に、節度を持ってお店とお付き合いしていきたいと思う限りである。(05.6.3)