Harawata0105

馬鹿牛
東京都渋谷区代々木1-41-3、03−3370−6554、17:00〜24:00、日休

 代々木といえば私が大学に入る前の一年間、「日々是集金」を社是とする(笑)専門学校に通った場所だ。立場的には中途半端で、世間一般からは暗い時期と思われるかもしれないが、振り返ってみると充実した期間だったし、多少なりとも精神的に強くなった気がする。また、人生で一番腹が減る時期だった。如何せん金がない。バイトもできないし、小遣いのほとんどをが食費に変わってしまうが、とにかく安いものしか食べられない。専門学校中庭にあつた220円の焼きそばばかり食べていたら、友達から「今日も焼きそば?」とからかわれたくらいだ。代々木というのはそんな場所なので、キチンとしたものを食べる時は緊張してしまうのである。
 前振りが長くなったが、そんな代々木にモツを食べさせるお店があると聞き、小遣いをためて(笑)出かけたのが馬鹿牛であった。細い路地を進んでいくと「地焼酎の旨い店」と書かれた看板が現われ、壁全体に焼酎のラベルが貼られた扉を開けると、鰻の寝床のような内装に長いカウンターが奥まで続いていた。

 生ビールを注文すると、お通しに大根おろしと冷奴が出てくる。このへんは焼鳥屋さんのパターンですね。まずはハツ刺しである。濃いピンクの牛ハツには塩と白胡麻と胡麻油が軽くかけられており、素材をしっかりと味わえるようになっている。逆に、付け合せのネギやレモンをかけると、そちらの方に味が支配されてしまった。途中マカロニサラダをつまんでいると、ミノとニンニクのホイール焼きが出来上がってきた。ん?!これもニンニクとハツが融合していないというか、それぞれがバターで蒸し焼きにされただけの味わいしか感じられない。私が塩分を求めているだけだろうか。
 飲み物を焼酎に切り替え、焼き物に移る。ギャラ、ボンボチ、シビレを塩で食べたが、これらはごくごく普通で、期待していたシビレもあまり大きな感動はない。レバーはちょっと焼きが入り過ぎの感ありだし、豚シロと牛小腸も脂が落とされていて旨さが物足りなかった。
 そんな訳で最後は揚げ物と銀杏に走ってしまったが、期待が高すぎたのか、専門学校時代のトラウマなのか(笑)、もうひとつ堪能しきれない日であった。(05.12.6)

お通し/ハツ刺し/マカロニサラダ

ミノとニンニクのホイール焼き/ギャラ・ボンボチ・シビレ/レバー

豚シロ・牛小腸/タマネギ揚げ・竹輪揚げ/銀杏