Harawata0149
一慶 八丁堀店
東京都中央区八丁堀2-29-7、03-3206-1451、16:30〜24:00、日休
第二次博多もつ鍋ブームが起きて数年経つ。第一次ブームは福岡のもつ鍋元気や万十屋のような老舗が六本木に進出し、それから雨後の筍のように東京の各処にもつ鍋店が開店した。しかし、その値段たるや、博多で食べてせいぜい3000円程度のものが、7000円以上のひとり単価になる始末で、いくら老舗のもつ鍋店といえどもリピーターを増やすことができず、2年位で撤退となってしまった。そうなってしまえば、雨後の筍は竹に成長できるはずもなく、東京からほとんどのもつ鍋店が消えてしまったのだった。
このように、前回のブームはバブルと共にやってきて、バブル崩壊と共に去って行ったが、今回のブームは幸いにも一過性のものではなさそうだ。2003年末に蟻月が恵比寿で開業してからブレークし、その後も名店と呼ばれるようになったお店が何店も出てきた。八丁堀から運河に向かって裏路地を進むと、壁が格子で囲まれたお店が現れる。2007年に開業したこの一慶もその中の一つである。
扉を開けて中に入ると、壁一面に来店した有名人の写真が貼られている。あまりこういうのは好きではないが、博多の本店も同じようなことをしているのが後で知ることとなる。
本日の同行者とまずはトリビーで乾杯し、酢もつとレバ刺しを注文する。しかし、レバ刺しはまだ届いてないという。ホンマかいな(^^; まぁしゃぁねーなってことで、お通しと酢モツで飲み、早速もつ鍋を注文する。ここのもつ鍋はスープのペースが醤油と味噌の2種類で、使われるもつが生もつと炙りもつの2種類があり、その炙りもつがこの店の人気商品なのだそうだ。頭の中で味を想像し、生もつには味噌を合わせ、炙りもつには醤油を合わせることにした。最初に生もつ味噌2人前ををもつ増しで注文すると、ニラ増しも推奨されたのでそれに従った。
トリビー/お通し/酢もつ
程なくして出てきた鍋を見て、ほほぅとほくそ笑んだ。そうそう、こうでなくちゃ博多のもつ鍋とはいえませんよねぇ。このマウンテン盛りじゃなくちゃ。最初は強火でもつに熱を通し、キャベツがしなっとしたところで火を弱め、ニラに熱が通ったら出来上がりだ。もつ鍋はそこまでにひっくり返したりするのはご法度である。おぉっ、このぷりぷりのシロはなんとしよう。口の中でぐじゅぅっと広がる脂肪の旨み。旨かぁーーーーー!味噌スープに合わせるという、柚子味噌を加えると一気に上品な味わいになる。皆、旨い旨いと言いながら、一気に食いつくしてしまった。あとでおじやにしたいので鍋をとっておいてもらえるよう頼むと、店員さんは快く対応してくれた。老舗の人気店にありがちな融通の利かなさは全くなく、このお店の高感度は一気に上昇である。
生もつ味噌あじ2人前+生もつ増しニラ増し/出来上がり/味噌あじはお椀に盛る(ぷりぷりのシロ)
間に手羽先煮込みの炙りとセンマイ刺しを注文し、黒霧島のお湯割りに移行する。炙りがウリのこのお店は、手羽煮も最後に焼き目を入れて提供される。なるほど、ほろりと身がほぐれるほど煮てあるのに、香ばしさが加わっていいですねぇ。センマイ刺しは味噌ダレに万能ネギとタカの爪がのせられ、上品な味わいだ。ただ、ここの一品料理は、鍋に比べてコストパフォーマンスが低くなるのが難点だ。この手羽煮の180円とこうや系の手羽100円を比較すると、こうや系の手羽で十分旨いと思う。センマイ刺しも然りである。酢もつにしても、これらにしても、火が通るまでのつなぎなので、こういうものはリーズナブルな値段にしてほしいですね。
手羽先煮込みの炙り/センマイ刺し
続いて炙りもつ醤油も2人前+炙りもつ増しニラ増しがでてきた。鍋の全体のビジュアルは全く変わらないが、取り皿が変わるらしい(笑)。しか〜し、味わいは全く別物だった。炙られてまるで若焼きのようなシロから、醤油ベースのお汁に香ばしさが加わり、今まで食べたことのない旨味になっている。こ・れ・は・旨杉晋作だぁーーーーーーっ!!!敏腕マネジャーも称賛しまくり千代子と化している。これまた一気に食いつくしたのは言うまでもない。
炙りもつ醤油あじ2人前+炙りもつ増しニラ増し/出来上がり/醤油味は普通の取り皿(香ばしい炙りもつ)
そして、〆である。炙りもつ醤油あじにはちゃんぽん玉を、生もつ味噌あじにはご飯を合わせることにした。で、この組み合わせも大正解。ちゃんぽん玉は、博多の太麺か北九州戸畑の細麺を選ぶことができ、我々は博多の方を選んだのだが、この太麺が香ばしい炙りもつ醤油味を吸いこんで、旨々の麺になっている。そして、味噌のおじやもナイスな出来上がりで、残った柚子味噌をちょいと溶かして食べると、これまた至福の味わいに進化した。いゃぁ、同行者が「また来よう」と固く誓っていたように、久しぶりのもつ鍋は素晴らしかった。(08.7.10)
炙り醤油あじには博多ちゃんぽん玉/味噌あじにはご飯